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白内障手術による乱視矯正
白内障手術は濁りを取り除いて視力を上げるだけではなく、特殊な眼内レンズを用いることによって、乱視を矯正することもできます。乱視とは角膜(黒目)でいうと、形が球面ではなくて、ラグビーボールのように楕円形をしているために、旨くピントが合わずにぼやけることをいいます。
たとえば写真1を見て下さい。この方の一番上の角膜収差のところの-5.23Dというのが角膜の乱視です。数字が大きいほど乱視が強く、0Dが一番良いと言うことになります。一番下の内部収差のところが白内障の乱視で-1.71Dです。真ん中の眼球収差のところが、この人が感じる乱視で-3.87Dの乱視となります。乱視には角度があるので、この方の場合は、白内障の乱視が角膜の乱視を打ち消して、少し軽くしています。この方に普通の白内障手術で用いる眼内レンズを入れると、実際の乱視は-5.23Dになってしまい、術前よりも乱視が大きくなってしまいます。そうすると見え方の質はよくありません。
そこでこの方には角膜の乱視を打ち消すような、乱視矯正用の眼内レンズを挿入しました。術後の検査結果が写真2です。乱視矯正用のレンズを入れたために、一番下の内部収差のところは乱視が-4.25Dありますが、これが一番上の角膜の-4.55Dの乱視を打ち消して、真ん中の実際に感じる乱視は-0.41Dと0Dに近い値になっています。
通常の眼内レンズを挿入していれば、-5Dくらいの乱視が生じていましたが、乱視矯正用のレンズを挿入して、実際の乱視をほぼなくすことができました。乱視を軽減させると、見え方の質はかなりよくなります。
当院では、乱視が強い方に対しては、乱視矯正用の眼内レンズを挿入していますが、乱視を0にできるわけではなく、あくまでも軽減するものであることをご承知下さい。そのため、もともと軽い乱視の方は普通の眼内レンズをいれることで十分であるといえます。白内障手術や、その際の乱視矯正にご不明な点があれば、いつでもご相談下さい。
(写真1)
(写真2)