多焦点眼内レンズについて

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Multifocal intraocular lens

多焦点眼内レンズについて

多焦点眼内レンズについて

 白内障手術をするときに、濁った水晶体を除去する代わりに、眼内レンズを目の中に挿入します。通常は単焦点レンズというレンズを入れますが、単焦点レンズは遠くか近くのどちらかにしかピントが合いません。たとえば遠くに合わせれば、普段は運転なども眼鏡無しで運転できますが、本を読んだり、スマホを見るときは老眼鏡が必要になります。
 一方で多焦点眼内レンズを挿入した場合には、眼鏡無しで生活することが(必ずではありませんが)可能になります。多焦点眼内レンズはこれまで2焦点や3焦点など様々な種類のレンズが販売されましたが、当院では、現時点でわたしが良いと考える連続焦点眼内レンズである「シナジー」という眼内レンズのみを多焦点眼内レンズとして取り扱っています。
 ただし、多焦点眼内レンズは良い面ばかりではないので注意が必要です。そのメリットとデメリットについてお話しします。

メリット

 当院に採用している連続焦点眼内レンズは遠くから近くまで連続的に見ることができます。眼鏡やコンタクト無しでも、かなりの範囲を、ピントが合った状態で見れることが、このレンズの大きなメリットです。運転しながらカーナビの細かい部分が見えるであったり、パソコンをしながら、遠くの人の顔も見える、買い物のときに遠くも見えて、賞味期限なども見えるなど利便性は高いです。多焦点眼内レンズを挿入した9割近くの方が、眼鏡やコンタクトから解放されると言われています。手元の小さい字を見るときなどに、眼鏡を使用する方もいますが、日常生活を裸眼でおくれるようになる方がほとんどです。

デメリット

  • ・費用が高額になる
     単焦点眼内レンズの白内障手術は保険適用ですが、多焦点眼内レンズを用いる場合は、レンズ代金が自己負担となります。たとえば3割負担の方であれば、普通の単焦点レンズの白内障手術は5万円くらいのご負担ですが、連続焦点眼内レンズを用いると5万円の手術代金にレンズ代の25万円(乱視矯正も必要な場合は27万円)が加わりますので合計30万円程度と高額になります。両眼手術であればその倍になります。
    ※税込みのご料金になります。

  • ・コントラストにやや劣る
     若いころの見え方や、単焦点眼内レンズのピントがあった部分の見え方と比較すると、多焦点眼内レンズのコントラストはやや劣ることがあるといわれています。しかし白内障の症状がある程度進行している場合は、もともとコントラストが低下しているので、多焦点眼内レンズを挿入したとしてもコントラストが向上しますので、見えにくく感じることはあまりありません。

  • ・夜間のライトがまぶしく感じることがある
     夜間に運転をする場合は、対向車のヘッドライトなどがまぶしく感じることがあります。

適応にならないことがある

 白内障以外に緑内障や、目の奥の病気がある場合は、多焦点眼内レンズが適応にならないことがあります。白内障手術後の見え方がしっくりこない、というのを避ける為に、事前に多焦点眼内レンズのメリット、デメリットなどをしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

 多焦点眼内レンズは、いい面ばかり着目されがちですが、上記のようなデメリットがあることも知っておく必要があります。しかし患者さんの目の状態や、ライフスタイルにあっていれば、当院で採用している連続焦点眼内レンズはとても良いレンズで、これまでも多くの方が納得されています。
 白内障手術を受けるにあたり「単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズで迷っている」という方は、一度当院にご相談ください。